相続した不動産に必要な知識3つのポイントに分けて解説

司法書士
榎本亮冴

今回は、不動産の相続に必要な知識につていです。

不動産相続の際のポイントは、不動産の遺産分割、不動産の名義変更登記、不動産にかかる相続税の3点です。

遺産に不動産がある場合、各種の疑問がでてくると思いますので、不動産相続に必要なポイントをわかりやすく解説します。

相続すると相続財産は共有状態となります。共有というのは一緒に所有しているという意味です。遺産分割協議では、誰の単独所有にするのかなどを相続人全員で話しあうことで決定します。

もちろん、協議で、分割せずそのまま共有のままにしておくことも可能です。共有後でも、物件によっては、好きなタイミングで、自分の相続した持分だけを第三者に売ることも可能ですし、再度話合って、共有者間で、持分を買い取ってもらったり、あるいは買い取ることも可能です。

ただし、通常、持分の売却は全体の売却よりも6,70%程でしか売れないことが多く、一般的に全体で売るよりも損します。また、その間、住む相続人と済まない相続人で、家賃の有無や固定資産税等の費用負担について合意しておかないとトラブルのもとになります。そもそも早く現金が欲しい相続人がいる場合は、一旦共有のままということにいきません。

不動産を遺産分割する3つの方法

その場合に、不動産を遺産分割する方法には、次の3つがあります。

現物分割、代償分割、換価分割という方法です。

現物分割

現物分割は、家は長男に、現金は長女にといった分け方をします。分筆できる土地であれば、土地を2つにして、そのまま分けることも可能です。ただし、自宅が3000万円、現金が1000万円では、自宅を引き継いだ方が特しますので、均等には分けられません。また、土地を分筆することができても、同じ価格で2つに分けることや建築基準法の規制をクリアしつつ均等に分けるのは意外と難しいです。そこで、現物現物ができない場合は代償分割、換価分割の2つの方法を検討します。

代償分割

代償分割は、一方が特定の遺産を受け取り、他の相続人に不足する分の現金を交付する分け方です。今の事例でいえば、長男が3000万円の自宅を引き継ぐ代わりに、長女に代償金として1000万円を支払います。これで、不動産を売らずに一部の相続人が引き継ぐことが可能です。ただし、この場合、長男には1000万円の資金が必要です。他にも価格面で合意に至らない場合もあります。

代償金を工面できない場合や価格の合意ができない場合は、3つ目の換価分割の方法になります。

換価分割

換価分割というのは、不動産を売却して、その価格を相続人間で平等に別ける方法です。この方法であれば、現金を等分すればいいので、価格の合意に至らないとか、平等に分けられないといった問題が起こりません。ただし、相続人全員の足並みを揃える必要がありますので、不動産を手放すことが嫌な相続人がいる場合、換価分割はできません。

話がまとまらなければ、一旦共有も可能ですが、できるだけ早く現金が欲しい相続人がいる場合は、共有ではなく遺産分割調停や審判を行います。家庭裁判所で遺産分割協議を解決する方法ですが、基本的に今見てきたとおり、現物分割、代償分割が無理であれは、最終的には換価分割により、現金を分配して解決という流れになります。

遺産分割協議はいつまでといった期限はありませんが、相続税が発生する場合は、実質10カ月以内となります。、早めに視野に入れつつ対策するのか得策です。

不動産の名義変更

次に不動産の名義変更です。

不動産を相続したら、通常、不動産の名義変更をして相続名義にしておきます。不動産は高価なものが多いですから、トラブルが起こった際は、大きな問題に発展しがちです。そこで、その問題をできるだけ回避する制度が不動産の名義変更登記です。一般的にはこれを相続登記といっています。

相続登記はいつまでにしなければならないというものはなく、登記も現状任意です。ただし、登記は先に自分名義にした人が勝ちといった制度になっています。

先に契約をしたとか、現金を支払った事情よりも登記が自分にあるかで所有者が決まります。ですから、遺産分割協議で、せっかく自分が引き継ぐことになっても、他の相続人が自分名義にない不動産を勝手に売却してしまうと、買った人から改めて買い戻す必要がでてきます。

また、地面師といった詐欺に狙われる恐れがあります。不動産の詐欺被害が表面化しているのはほんの一部で、どの物件が狙われてもおかしくありません。不動産の名義に動きがないと狙いやすいという説もあります。また、売ろうと思っても、自分名義にない不動産は売ることができません。

こういった理由から、相続した不動産の名義は、極力早く自分名義に移し、権利を守ることが重要です。

不動産の相続税

次に、不動産の相続税についてです。

遺産に関しては、相続税がかかる場合があります。ただし、一定ラインを超える遺産額がある場合にだけです。一定のラインというのは3000万円プラス相続人の数×600万円です。こども2人と配偶者が相続人の場合は、4800万円まで相続税はかかりません。

遺産の価格を計算する際に、1000万円の現金の場合は、1000万円に対して課税されますが、不動産の場合は、その不動産がいくらなのかという基準が必要です。

不動産の価格は、一物四価とも言われていますが、1つの物件に対していくつかの価格が存在します。相続の際には、このうち、相続税評価額という基準によって不動産を評価します。

ケースによっては評価方法を工夫して、低く評価することができ、節税につなげることができます。もし、高く評価してしまうと、余計に納税することになりますので、特に不動産の評価は重要です。

土地の相続税評価の方法には、路線価方式と倍率方式があります。

どちらの方式で計算するかは、地域ごとに決まっていますので、自由に選ぶことはできません。

路線価方式

まず路線価方式ですが、路線価とは、道路に面した宅地の1平方メートル当たりの評価額のことをいいます。路線価は、国税庁ウェブサイトの財産評価基準書のページで確認することができます。

宅地の面した道路が掲載されている路線価図を探し、路線価が分かったら「路線価×地積」で計算します。この例では路線価が300,000円で、地積が180平方メートルの土地ですので、土地は54,000,000円ということが分かります。

倍率方式

倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法です。倍率方式における土地の価額は、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。

国税庁ウェブサイトの財産評価基準書に、評価倍率表というものがありますので、定資産税評価額にこの倍率を掛けた金額が相続税評価額になります。

例えば、固定資産税評価額が1000万円、評価倍率が1.5倍の土地は、1500万円です。

固定資産税評価額は、毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に添付されている課税明細書に記載があります。

これが土地の相続税評価の基本です。ただし、土地の相続税評価額を下げる方法も、ケースに応じていくつかありますので今回重要なものを6つ簡潔にご紹介します。

小規模宅地等の特例

1つ目は小規模宅地等の特例です。

「小規模宅地等の特例」とは、亡くなった人の自宅の土地や、亡くなった人が事業に使っていた土地を相続する場合に、一定の条件を満たせば、相続税を計算する際の土地の評価額を最大8割引きにしてくれる制度です。1億円の土地が2,000万円の評価になります。

小規模宅地の特例だけで、相続税がかからなくなるケースもあるほど節税効果が高いです。

そのため、細かな要件が定められています。

地積規模の大きな宅地の評価

2つ目は地積規模の大きな宅地の評価です

広い宅地を相続したときに、税金を安くすることができるのがこの制度です。広い土地は、分譲などで活用するためには私道を引いたりする必要があります。そういった費用を考慮すると、土地の広さに応じて評価を出すと、実際の価格に対して、税負担が大きくなります。

ですので、その分を考慮して、相続税評価額を減額することができます。

いびつな土地の評価

3つ目はいびつな土地の評価です。

土地の形には、正方形、長方形以外にもさまざまな形があります。斜めになっている土地もあれば、一部分だけ飛び出した土地、逆に一部分が凹んだ土地などがあります。

このようにいびつな形をした土地を不整形地と呼び、真四角の土地よりも使いにくいことを考慮して、相続税評価額を減額することができます。

借地権の評価

4つ目は借地権の評価です。

借地権とは、土地を借りる権利ですが、借地権も相続財産であり、相続税の課税対象となります。借地権の評価額は、土地の相続税評価額に借地権割合を掛けて計算します。借地権割合分だけ、相続税評価額を減額することができます。

貸宅地の評価

5つ目は貸宅地の評価です

貸宅地とは、人に貸している土地ですが、貸宅地も、当然、相続財産です。

人に土地を貸していて、その土地を借りている人が所有する建物が存在する場合の土地は、貸宅地として、相続税評価額を減額することができます。

貸家建付地の評価

6つ目は貸家建付地の評価です。

貸家建付地は、貸家の目的とされている宅地、つまり、所有する土地に建てた家屋を他人に貸し付けている場合の、その土地のことをいいます。要するに賃貸アパートある土地のイメージです。

貸家建付地も、一定の割合で、相続税評価額を減額することができます。

建物の評価方法

最後、建物の評価方法です。

建物の相続税評価額は、固定資産税評価額を適用します。

固定資産税評価額は、固定資産税の納税通知書に添付されている課税明細書に記載されています。これは、土地の倍率方式で計算する際に解説した通りです。

以上、不動産相続についてポイントの解説でした。

土地の評価には、様々な評価減の規定がありますが、うまく活用するこで、相続税評価額は大きく変わってきます。ただし、相続開始前からの準備が必要ですし、過度の対策で、アパート経営などに失敗し、多くの借金を抱えてしまう場合もありますので、対策が必要な場合は慎重行うことが賢明です。

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監修者プロフィール

榎本亮冴
榎本亮冴司法書士
・大手金融機関主催の相続対策セミナー、相談会
・大手不動産会社主催の相続対策セミナー、相談会
・大手生命保険会社の相続専門員向け勉強会の開催
・自主開催の終活セミナー、相談会多数
これまでの豊富な経験に基づき、遺言作成支援、相続を中心に、個人のお客様向けに幅広い業務に対応させて頂くことができます。どうぞお気軽にご相談下さい。