【相続トラブル7選】兄弟による相続トラブルと解決策について解説

司法書士
榎本亮冴

今回は、兄弟による相続トラブル7選と解決策というテーマでお送りしていきます。

兄弟の相続割合は基本的には平等です。2人兄弟であれば2分の1ずつ、3人兄弟であれば3分の1ずつとなります。両親が離婚していても、どちらの親に引き取られても、両親の遺産も相続することができ、相続割合も当然違いはありません。

また、養子であっても実子である兄弟と相続割合は変わらず平等です。半血の兄弟であっても、親の遺産の相続割合に違いはありません。婚姻している男女の間に生まれれた子を嫡出子、婚姻していない男女の間に生まれれた子を非嫡出子といいますが、非嫡出子も認知されていれば相続人となりますので、嫡出子、非嫡出子に相続分に違いはなく平等です。

つまり、いずれも場合も兄弟姉妹の相続分は平等と定められています。ただし、遺言がある場合は、遺言の内容を優先しますので、通常の割合と異なる遺産割合になるケースはあります。また、遺産分割協議によって、全員の合意があれば、自由に遺産割合を変えることも可能です。これらを前提に、次のようなケースで兄弟間でのトラブル事例7つと、解決策を解説します。

1遺産が勝手に使い込まれた

相続人が遺産を勝手に使い込んでいるケースです。特によくあるケースでは、預金の使い込みです。銀行口座は、契約者が亡くなったことを銀行へ伝えなければ、基本的に口座凍結はされませんので、亡き後でもATMから自由に現金を引き出すことができます。

回避する方法としては、銀行に亡くなった事実を連絡することです。銀行が口座を凍結するほとんどのケースは、一部の相続人からの連絡を受けたときです。凍結した口座からお金を下ろすには、遺産分割協議が完了し、相続人全員の印鑑証明書の添付があったときです。

ですから、口座を凍結状態にすれば、一部の相続人が勝手に引き出して口座のお金を使うことを防止することができます。金融機関が分かっていれば、どの支店に口座があるかを照会してもらえます。生前から使い込みが疑われる場合は、後見制度によって親の財産を管理する仕組みを取り入れるのも一つの手です。

既に使い込まれた後の解決策として、遺産分割協議の中で、既に使い込まれた分を差し引いて分ける、不当利得として返還を求めることが考えられます。使い込みの事実について認めている場合は、協議の中で調整し穏便に解決することができますが、認めていない場合は、最終的には裁判を通じて争うことになります。

2遺言書が有効か無効かで意見が割れている

遺言が手書きの遺言の場合は、遺言の有効性について意見が分かれることがあります。例えば次のようなケースです。遺言作成時に認知症等で意思能力がなかった、自書でない箇所がある、日付や署名がない、押印がない、訂正が所定の方式で行われていない、表現が曖昧などです。自筆の遺言は要件が意外と厳格ですから、このような要件を満たしていない遺言は基本的に無効となります。

回避する方法ですが、遺言は事前に知らされているケースを除き、通常は相続開始後にすることになります。ですので、相続人が取り得る手段はありませんが、遺言書を遺す人が取り得る手段としては、公正証書で遺言を作成することです。公正証書遺言は、公証人の面前で遺言を作成する方式のものですので、遺言が無効になることは基本的にありません。

また、2020年7月10日よりスタートした法務局での遺言保管制度でも、遺言が無効になる可能性は低くなります。

遺言書に不備があった場合の解決策としては、不備な遺言が有効となることはありませんが、ケースによっては死因贈与としては有効となることもあります。有効性については、法律的な判断が必用ですので、念の為弁護士等の専門家に相談しましょう。

3遺言の内容が偏っている

冒頭でも解説しましが、遺言によれば、遺産分割の方法を定めることも可能です。遺言があれば遺言の内容を優先しますので、偏った内容であっても基本的には、その通りに相続することになります。

ただし、相続には遺留分という制度がありますので、この制度によって各相続人は必ずいくらかの遺産は受け取ることが可能です。ですので、偏った内容の遺言があった場合は、兄弟間で遺留分請求のトラブルが考えられます。

遺留分を侵害する遺言などがあった場合は、財産を多く受けた人に対して、遺留分侵害の限度で金銭の請求をすることができます。

回避策としては、遺留分を考慮した内容の遺言にすることがあげられます。特定の相続人に多くの財産が渡ると遺留分の問題となりますので、遺留分を割らないような内容の遺言を検討します。

偏った遺言が発見された後の解決策は、遺留分の請求をして、遺産の一部を取り戻すことができます。

4特別受益について意見が割れている

親が一部の子供に対して、事業や、家の購入資金などの贈与をしていた場合や、遺言によって多くの財産を遺した場合は、これらを特別受益と考えます。

生前の贈与や、遺言によって多くの財産を受け取る分、残された遺産の取分を減らし他の相続人との公平を保つ制度が特別受益です。遺言の場合は明らかですが、生前の贈与は、数年前のことで、曖昧になっているケースも少なくありません。また、そもそも特別受益にあたるのか、または扶養の範囲内なのかで争いになることがあります。

回避策として、特別受益の持ち戻しの免除が考えられます。

特別受益があった場合は、その分を遺産に持ち戻して、多く受け取った相続人の取分をその分差し引いて遺産分割しますが、特別受益の免除があった場合には、持ち戻しせずに遺産分割します。

生前の贈与や遺贈よる特別受益を考慮せずに遺産分割することが明確になりますので、無用な争いを避けることができます。この免除の方法は、口頭でも構いませんし、遺言に記載する形でも可能です。

ただし、形に残らないような免除の方法では、それもまた免除の有無でトラブルになりますので、なにかしら書面などで明確に残した方がいいでしょう。

特別受益について意見が割れている場合の解決策では、当事者間で合意に至らない場合は、調停など家庭裁判所の活用も検討した方がいいでしょう。

5寄与分について意見が割れている

寄与分というのは、一部の相続人が亡くなられた方の介護や事業へ費やした、お金や時間、労力を考慮し、その分遺産分割時に多く遺産を受け取れる制度をいいます。

ただし、実際には、寄与分の存在は、明確な計算式があるわけではありませんし、どこまでが寄与にあたるかを正確に判断する基準というのはありません。

ですので、寄与分の有無や金額を巡って、相続開始後に兄弟で揉めるケースがあります。

回避策として、一番確実なのは、介護してくれた人に多く遺産が渡るように遺言を残しておくことが考えられます。基本的に寄与分は遺産分割協議の中で考慮していくものですので、他の相続人が否定すれば、報われない可能性もあります。この点遺言であれば、明確に遺産の振り分けが可能となりますので、あえて寄与分の有無を巡ったトラブルが回避できます。

寄与分について意見が割れている場合の解決策も、当事者間で合意に至らない場合は、調停など家庭裁判所の活用も検討した方がいいでしょう。

6不動産の分割方法で意見が割れている

不動産の分割方法を巡っては、遺産分割協議の中でも特にトラブルになることが多いです。

不動産は、遺産の財産価値の多くを占めることが少なくありませんし、自宅の場合は特に相続できるかどうかによって住む場所が変わってくるので生活に与える影響も大きいためです。

また、不動産の分割方法もいくつかありそれぞれにメリットとデメリットがあるので、なかなか意見がまとまらない原因になります。

回避策としては、やはり、遺言によって分割方法を指定することが考えられますが、相続人のためになる合理的な内容にすることが重要です。

当事者間で解決できない場合は、調停を申立て、家庭裁判所で解決する方法があります。

7不動産の評価額について意見が割れている

不動産の評価で意見が分かれるのは、一部の相続人が自宅を引き取り、他の相続人に対してお金で埋め合わせる時が多くなると思います。これを代償分割といいますが、財産を取得する人にとってはその財産が低く評価をされた方が得で、取得しない人は高く評価された方が得なため、評価額について意見が分かれることがあります。

回避策として、各財産の評価額を決めてから遺産分割協議に入った方が後々になって、遺産の評価で揉めることを極力回避できます。

不動産については、通常は実勢価格(実際に取り引きされる価格)で評価されます。

この点、固定資産税評価額や相続税評価額の公式の価格から実勢価格を見積もる方法もあります。

固定資産税評価額は実勢価格の70%程度、相続税評価額は実勢価格の80%程度になっているので、それぞれ70%あるいは80%で割り戻した価格とすることで、およその実勢価格を見積もることができます。

また、近場の不動産会社に査定してもらう方法もあります。特定の査定で価格のブレをなくすためにいくつかの不動産会社の査定を取り、その中間で合意するという方法です。

これらの方法に納得がいかない場合は、最終的に不動産鑑定士に鑑定してもらうとより正確な算定が期待できます。ただし、鑑定料が数十万円かかりますので、鑑定を依頼する専門家を双方の合意の下で選び、鑑定結果に従うことを合意しておいた方がいいでしょう。

以上、遺産相続における兄弟のトラブル事例7選でした。

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監修者プロフィール

榎本亮冴
榎本亮冴司法書士
・大手金融機関主催の相続対策セミナー、相談会
・大手不動産会社主催の相続対策セミナー、相談会
・大手生命保険会社の相続専門員向け勉強会の開催
・自主開催の終活セミナー、相談会多数
これまでの豊富な経験に基づき、遺言作成支援、相続を中心に、個人のお客様向けに幅広い業務に対応させて頂くことができます。どうぞお気軽にご相談下さい。