遺言書がないと困るケース5選

今回は、遺言書がいと困るケース5つを解説させていただきます。

以外と知られていないことですが、遺言書がない場合は、法定相続分どおりに相続することになりますので、遺産を分けるには遺産分協議が必要になります。

一方で、遺言書があれば、遺言の指定とおりに財産を引き継ぎますので、遺産分割協議を行う必要がありません。このように遺言書の有無が、相続では、かなり重要になります。

事前に遺産分割協議が難航しそうなケースでは、遺言書があるかないかでは、手続きが大きく異なります。
そこで、今回は遺言書がないと困るケースを、5つ解説させていただきますので、是非参考にしてみてください。

相続人に認知症の方がいるケース

まず1つ目は、相続人に認知症の方 がいるケースです。

相続人に認知症の方がいる場合は、スムーズに遺産分割協議ができずに、難航してしまう可能性が高いといえます。遺産分割協議は相続人全員の同意が必要ですので、意思表示が難しい認知症の方が相続人の場合、全員で協議することができません。意思表示ができるタイミングで進めることも考えられますが、問題が残ります。

あえて遺産分割協議をせずに、そのままにしておく方法もありますが、銀行口座の解約や不動産の名義変更を行う場合は、やはり遺産分割協議をする必要があります。

その場合、認知症の方が協議に参加できない代わりに、成年後見制度の利用の申立てをする必要があります。成年後制度というのは、家庭裁判所が選任した成年後見人が、認知症の方の、家や預貯金などの財産を管理する制度をいいます。成年後見人には、家庭裁判所の権限で弁護士や司法書士から選ばれることが多くなっています。

この成年後見人は選ばれるまで通常2、3カ月はかかりますので、その間は遺産分割できませんし、1度選任されると、基本的には本人がお亡くなりになるまで後見はつづくことになります。選任された後見人へは、毎月3万円程の業務報酬が必要になることがあります。

そして、後見人がつくと、基本的に本人の法定相続分を下回るような遺産分割はできませんので、自由な協議ができなくなります。不動産などの割合が多い場合は、共有にするしかありませんし、相続税を最大限考慮した分割協議もできない可能性があります。このように、基本的に遺産分割のためだけに成年後見人を選任してもらうメリットはありませんので、回避した方がいいことになります。これを回避するには、遺言書の利用が必要です。遺言書があれば、指定どおりに財産を引き継ぎますので、遺産分割協議を行う必要がありません。協議のためだけに後見人を選任するような手間がなくなり、相続手続きがスムーズに進めることができます。

親の介護負担に差がある

亡くなられた方の介護などで、特別な寄与をした相続人は、寄与分として、多く財産を受け取ることができるとされています。本来であれば介護施設を利用するところ、特定の相続人の介護によって、施設利用料などの費用が不要になったら、その分は、介護した相続人が多く遺産を受け取ることが、より平等になると思います。ですが、この寄与分が認められるには、相続人全員の協議が必要となっていますので、必ず寄与分が認められるとは限らない、というのが問題になります。そもそも過去数年間の介護の状況を知ってもらうのも難しいものですので、仮に調停などになっても、寄与分は認められにくい制度になります。

このような場合にも、遺言書があれば、相続人全員の協議で、寄与分を認めてもらう必要がなくなります。介護負担分が配慮された遺言書があれば、協議することなく、遺産を引き継ぐことができますので、遺言書が存在は非常に大きいということが言えます。特に遺産が自宅の土地で多くを占めるような場合には、遺言書があった方がよりスムーズです。

配偶者と兄弟姉妹が相続人

法定相続人の決まりによれば、子と両親がいない場合は、相続人は、配偶者と兄弟姉妹になります。相続分は、配偶者は遺産全体の4分の3、兄弟姉妹は4分の1になりますので、何もしなくても半分以上は配偶者が引き継ぐことでできます。ですが、財産が兄弟姉妹に渡ってほしくないということもあるかと思いますし、遺言書がない場合は、配偶者と兄弟姉妹で遺産分割協議を行う必要があります。

遺産分割協議自体が大変なものでありますが、配偶者と兄弟姉妹とは、面識がほとんどないことも多いかと思いますので、中には難航してしまうケースもございます。

ですので、このようなケースでは、遺言書ある方が望ましいケースになります。遺言書があれば、遺産分割協議も必要ありませんし、兄弟姉妹には、遺留分がありませんので、すべてを配偶者に遺す内容でも問題ありません。

自宅など不動産の財産割合が多い

不動産というのは、分割が一番困難な財産になります。例えば、同じ100㎡の土地が2つあっても、方角や接道関係によって価値が大きく異なります。そして、その価値自体も、不動産を査定する会社や査定するタイミングによっても、数百万単位で異なることがあります。国が公表している不動産の評価額は、課税するための基準価格ですので、実際に取引される価値とは異なります。このように、不動産の時価というのは、一概に決めることが難しいものです。

法定相続分は譲れないとなると、差額分は相続人が自分の財産を持ち出す必要が出てきます。不動産の時価がいくらなのかで合意に至らないということが起こりますし、不動産の比率が大きい場合には、差額分が数千万になることも少なくありません。この場合、どうしても協議ができない場合は、不動産を共有に状態にしてしまうか、売却して現金を平等に分けるかになります。共有にしておくというのは、使い勝手も悪いものですし、相続によって所有者がどんどん増えてしまう問題点が残ります。売却も考えられますが、居住している場合は直ぐに売れるとは限りません。

このような場合に備えて、やはり遺言書で、どの不動産を相続するのかを決まっていると、遺産分割協議がいりませんので、多少の差額についても考慮することなく、相続手続きがスムーズになります。

ですので、このようなケースでは、遺言書を作成した方がいいケースになります。

被相続人が再婚している場合

被相続人が再婚している場合の遺産分割協議でトラブルになることがあります。

法律上、離婚した配偶者には、相続権はありませんが、離婚した配偶者との間の子には、相続権があります。

そうすると、後妻と前妻の子が相続人になりますので、遺産分割協議が難航する可能性が考えられます。また、後妻との間に子がいる場合には、その子も前妻の子も同順位での相続人となります。

戸籍謄本上では、転籍などをすると、直近の戸籍には離婚などの事実が記載されませんので、前妻の子の存在が戸籍から明らかになりません。そもそも戸籍は普段ほとんど必要としませんので、相続後の調査で知るケースもあります。

ですが、離婚した前妻との間の子どもに財産を渡したくなくても、その子どもを除いて、遺産分割協議はできませんので、このような場合にも、遺言書があると遺産分割協議が要りませんので、相続手続きがスムーズに行うことができます。

以上、遺言書がなくて失敗するケースについてでした。

監修者プロフィール

榎本亮冴
榎本亮冴司法書士
・大手金融機関主催の相続対策セミナー、相談会
・大手不動産会社主催の相続対策セミナー、相談会
・大手生命保険会社の相続専門員向け勉強会の開催
・自主開催の終活セミナー、相談会多数
これまでの豊富な経験に基づき、遺言作成支援、相続を中心に、個人のお客様向けに幅広い業務に対応させて頂くことができます。どうぞお気軽にご相談下さい。