相続した不動産の損しない売却手順を解説

今回は、相続した不動産のご売却を検討されている方に向けて、分け方によって異なる税金や手続きの違いを解説していきます
今回の内容は、遺産分割協議での換価分割や代償分割といった、分け方の違いによって負担する税金がかわる、というものですので、是非参考にしてみてください。

相続不動産の売却一連の流れ

不動産を相続したけど、誰も済まないとか、誰かが相続すると平等に分けれなれないので、不動産を売却するというケースはあるかと思います。

その場合の、一連の流れを簡単に確認していきたいと思います

一連の流れはこのようになります。

  1. 相続人全員の合意
  2. 不動産売却の収支予測を立てる
  3. 遺産分割協議をする
  4. 相続登記
  5. 仲介業者との媒介契約
  6. 売買決済・登記・引き渡し
  7. 相続人間の売却代金の精算
  8. 譲渡所得税の申告・納付

遺産分割の方法では、代償分割または換価分割の方法で、売却代金を分配する方法があります。どちらの方法にするかによって負担する税金が大きく変わることもありますので、ここを後程解説します。

次に、相続登記行い被相続人から相続人への名義変更登記をし、不動産業者へ売却や媒介を依頼します。買主が出現したら売買契約を交わし、指定日に引き渡しとなります。

決済が無事完了しても、最後に、譲渡所得税の申告があります。申告納付期限は、不動産を売却した翌年の2月16日~3月15日までとなっています。

相続税が発生する場合は、相続税の申告納付が必要ですが、相続した不動産を売却して利益が出た場合には、加えて、譲渡所得税の申告納付が必要になります。

代償分割か換価分割によって各相続人が負担する税金が変わる

こちらが主な流れですが、今回は3の遺産分割の代償分割か換価分割によって、各相続人が負担する税金が変わる、ということについて解説します。

先ほども軽く触れましたが、相続不動産を売却して、相続人で現金を精算する方法には基本的に2つあります。1つ目が、代償分割の方法です。代償分割の場合は協議書にこのように記載します。特定の相続人が対象不動産を取得すると記載し、一定の代償金をいついつまでに他の相続人へ支払うという形で取り決めをしておきます。

例えば、Aが1,000万円の不動産を相続し、他方に500万円の支払うという方法になります。

2つ目は、換価分割という方法です。不動産を売却した代金を相続人で分ける方法です。

換価分割の場合は、相続人代表者が不動産を取得すると記載し、但し書きなどで、代表して単独の相続登記を行う点や、換価分割を行うことを明確に記載しておきます。換価分割の場合は、一旦、相続人のうちの1人を決めて単独名義にするケースが多いです。その方がその後の売買契約なども単独で行えますのでスムーズに進行すると思います。

換価分割の場合

まずは換価分割からみていきます。

事例として、相続人がA、B 遺産1億円の不動産を換価分割で1/2で分けるとします。また、Aが同居人として、小規模宅地の特例と自宅用特別控除が受けられるとします。

その他条件や細かな計算方法は割愛させて頂きますが、そうするとこのような結果になり、それぞれが納める相続税の金額がこのようになります。

次に、この不動産を実際に売却した際にかかる譲渡所得税です。

譲渡所得税は、買ったときよりも、高く売れた場合の儲け分に対してかかる税金です。

実際に1億5000万円で売れたとして、2分の1しますので、7500万円でわけます。

取得費は、不動産を取得した時の費用で、主に購入金額になります。相続した不動産は、取得費がわからない場合がありますが、その場合、売却価格の5%しか計上できないことになっています。この事例では、取得費は8000万円としています。

取得費加算というのは、納めた相続税を取得費にできる制度です。一定の条件がありますが、加算できれば、節税できるますので、今回は加算します。

また、自宅を売却する場合は、3000万円が控除されます。

この計算結果に、約20%の税率を掛けると、それぞれが納める所得税の金額がこのようになります。

相続税と譲渡所得税を合計すると、2分の1でわけようとしても、負担する税金がことなってきます。

手続き的な観点からすると、換価分割のメリットは、売却経費などを差し引いた金額を2文の1ずつなどで分けることで、結果的に代償分割よりも平等に分割することができる、ということが挙げられます。

一方で、デメリットは、代償分割と比較すると精算事務が多少煩雑になる点や、譲渡所得税の申告納付は、譲渡所得を得た相続人全員がそれぞれ行う必要がある点などがあげられます。

代償分割の場合

次に代償分割の場合です。不動産はAが取得し、代償金としてBに5000万円支払うケースです。

その他条件や細かな計算方法は割愛させて頂きますが、そうするとこのような結果になります。

それぞれが納める相続税の金額がこのようになります。

次に、この不動産を実際に売却した際にかかる譲渡所得税です。

代償分割の場合は、Aが取得して売却しますので、Bは不要です。

一定の計算をすると、このような結果になります。

合計金額は、換価分割よりも、代償分割の方が90万円ほど安いことがわかります。

代償分割の形をとる場合のメリットは、定額の代償金を定めますので、相続人間での精算事務が明確になります。また、譲渡所得税の申告は相続人代表者が行うので、他の相続人の手続きがスムーズになる点があげられます。

デメリットとしては、代償金を遺産分割協議で定める必要がありますので、売却価格の予想が難しい場合には、代償分割は向かないことが挙げられます。

また、相続人代表者に売買などの労力がかかる点や、譲渡所得の負担が相続人代表者にかかることになります。

例えば、自営業や無職の方が加入している国民健康保険料が、翌年1年間、一時的に増額する可能性があります。保険料は、前年度の所得額を基に算定しますので、不動産を売却した際の譲渡所得が大きいと、その分保険料が増加する仕組みとなっています。

代償分割の形をとる場合は、これら相続人代表者にかかる負担の有無も考慮したうえで、代償金を決定するのがよりよいかと思います。

以上、今回は相続人のマイホーム売却の例でしたが、空き家を売却する場合や、相続税のない場合などケースによっても異なります。

相続税と譲渡所得税の特例なども考えると、思った以上に複雑ですので、専門家にシミュレーション依頼するなどして、負担を最小限に抑えることも検討してみると、よりいいと思います。

以上、今回は、相続した不動産の損しない分け方のポイントについてでした。

監修者プロフィール

榎本亮冴
榎本亮冴司法書士
・大手金融機関主催の相続対策セミナー、相談会
・大手不動産会社主催の相続対策セミナー、相談会
・大手生命保険会社の相続専門員向け勉強会の開催
・自主開催の終活セミナー、相談会多数
これまでの豊富な経験に基づき、遺言作成支援、相続を中心に、個人のお客様向けに幅広い業務に対応させて頂くことができます。どうぞお気軽にご相談下さい。