自筆証書遺言の有効性の確認方法について解説

今回は、自筆証書遺言の有効性の確認方法について解説します。

自分で遺言を書いていないと無効?

1つ目は、本人が自分で遺言書を書いていないケースです。

本人が自分で遺言書を書いていないケースは無効になります。法律では、遺言書を自筆で作成する場合、全文、日付、氏名を自書することが、要件となっていますので、自分で文字が書けない事情がある場合は、遺言書の作成ができません。パソコンで打ち出した遺言書、レコーダーなどで録音した音声、他人が書いた遺言書は、例外なく遺言書としては無効です。相続人が手を添えて誘導させつつ本人に書かせたケースでも、遺言が無効になった事例もあります。

判断力を欠いてると無効?

2つ目は、本人が認知症などで遺言書を書けない事情があった場合です。

遺言が有効に作成されるには、遺言者本人が、遺言の内容を理解できる状態である必要があります。書遺言の有効性が争われる場合は、遺言書作成当時の病院の診療記録や看護記録といった客観的な記録に基づいて、本人が遺言書の内容を理解できていたかポイントになると思います。

そのため、遺言書作成当時に、遺言者が認知症や精神上の障害があって、判断力が欠けていたとされると、無効になることがあります。

日付がないと無効?

3つ目は日付がないケースです。

遺言書は、何回でも書き直すことができ、最後に書かれた遺言が最優先されるということ決まっています。このため、日付を書くことは、作成された遺言書の前後関係を知るうえで、非常に重要な意味を持っています。

ですので、日を特定できない遺言は無効になります。

年月日という書き方が無難ですが、他の情報から日付を特定できるような場合には有効になりえます。

例えば、1月末日や、自分の85歳の誕生日などの書き方です。

一方で、2020年1月吉日という書き方は、具体的な日付がわからないので無効になった事例があります。正月といった書き方でも、無効になる可能性が高いと思います。

解釈が不明だとどうなる?

4つ目は、遺言書の解釈が不明なケースです。

誰に何を相続させたいのかが遺言書から読み取れない場合も、その記載が無効になることがあります。

たとえば、財産については、長男にすべて任せる、といった内容の遺言が無効になった事例があります。一任するとか、お願いします、といった文言でも同様に、財産を明確にあげる趣旨なのか分かりませんので無効になる可能性があります。

遺言の末尾は、相続させる、または、遺贈する、の文言を使い分けが間違いないです。

押印を欠いたら無効?

5つ目は、遺言書への押印を欠いたケースです。

遺言は、全文、日付、氏名の自書、という要件の他に、印を押すことが、法律で決まっています。押印に使用する印鑑は、実印である必要はなく、三文判でも有効です。また、印鑑を使用せず、指で押印したものでも有効だとされています。遺言書自体には押印がなくても、遺言書の入った封筒の綴じ目に押印してあったケースでは、有効な遺言書と認められた事例があります。

一方で、平仮名を○で囲った略号や、サインなどでは、日本の慣行からして印とは言えず無効となった事例があります。したがって、押印がないものや、押印と言えないものは無効になると考えられます。

遺言が無効と思われる場合の対処法

遺言が有効かどうか疑われる場合には、対応方法は2つあります。

1つ目は、相続人全員の同意で、遺言書とは異なる内容で、遺産分割協議を行う方法です。遺言書があったとしても、相続人全員の同意があれば、遺言書とは異なる内容で、遺産分割を行うことは可能です。遺言があっても、解釈などが不明で、不動産の名義変更や銀行口座の解約などの相続手続きに使えなければ意味がありませんし、明らかに無効な遺言の場合は、改めて遺産分割協議を行うことになります。

2つ目は、遺言が有効かどうか微妙な場合で、裁判所に判断してもらう方法です。相続人同士で意見が対立する場合は、調停や訴訟といった手続きも残されています。裁判で遺言が無効と判断されたら、改めて遺産分割を進めることになります。

以上、今回は、自筆証書遺言の有効性の確認方法についてでした。

監修者プロフィール

榎本亮冴
榎本亮冴司法書士
・大手金融機関主催の相続対策セミナー、相談会
・大手不動産会社主催の相続対策セミナー、相談会
・大手生命保険会社の相続専門員向け勉強会の開催
・自主開催の終活セミナー、相談会多数
これまでの豊富な経験に基づき、遺言作成支援、相続を中心に、個人のお客様向けに幅広い業務に対応させて頂くことができます。どうぞお気軽にご相談下さい。