遺言書保管制度を完全解説

まずは、遺言書保管制度を知るために、制度の全体の流れを見ていきましょう。

遺言書保管制度の流れ

保管制度の流れはこのようになっています。

  1. 従来通り自分で遺言書を作成する
  2. 管轄の遺言書保管所、つまり法務局を調べる
  3. 保管制度の申請書を作成する
  4. 遺言書保管申請の予約をする
  5. 遺言書を法務局に持参して申請する
  6. 保管証を受領する

の6つのステップです。

①自分で遺言書を作成

まず1つ目は、自分で遺言書を作成します。これは一番重要なところですが、日付、全文(財産目録除く)、氏名を自書し押印することが自分で書く遺言の必須条件となっています。ですので、ワードで作成したものや、作成された日付が漏れている遺言、家族に代わりに書いてもらった遺言は基本的に無効になってしまいます。

日付、全文、氏名の自書と押印は必須ということは覚えておきましょう。

この点は従来通りですが、保管制度を活用する場合は形式面で多少注意する部分があります。

➀A4の用紙を使うこと 

自分で保管する場合は、極端に言えばノートの切れ端でも作成できますが、保管制度を活用する場合はA4用紙を使用します

②余白を設ける

これは、図を見て頂ければ分かると思いますが、法務局の管理上、余白ギリギリに文字を書くと支障があるようですので、隙間を作る必要があります

③片面のみに記載する

こちらも同様に管理上、裏面は使えません

④封はしない

従来の遺言書でも封は必要とされていませんが、むき出しの様態よりかは、通常封して保管することが多いと思います。保管制度を活用する場合は、法務局で内容を確認しますので、封は不要となっています

⑤数枚になるときにはホチキスなどで止めずに番号を振る

遺言書の作成方法で、1枚目に、誰々に相続させる等の文言を自書し、2枚目に対象の財産を別紙としてつけることがあると思います。この別紙の対象財産は法改正により、自書ではなく、不動産登記簿や預貯金口座の写しをくっつけることでよしとされています。このように遺言書が、数枚に渡るときにはホチキス止めなどせずに、番号を振り、その部分に自書と押印をします。

②管轄の遺言書保管所を調べる

次に2の管轄の遺言書保管所を調べるステップです。

保管申請できる保管所は、次の3つです。

・遺言者の住所地の保管所

・遺言者の本籍地の保管所

・遺言者の所有する不動産所在地を管轄する保管所

です。

この3つの保管所であれば基本的にどこでも可能ですが、自分の住んでいる最寄りの保管所への申請が一番楽なのではないでしょうか。いくつかありますので、こちらは概要欄にURLを記載しておきますので、ご確認頂ければと思います。

③保管制度を活用するための申請書を作成

3つ目は、保管制度を活用するための申請書を作成するステップです

作成した遺言書を単に法務局に持参するだけではなく、一定の申請書や添付書面も一緒に提出する必要があります。

申請書はこのような決まった用紙がありますので、法務省のHPでダウンロードするか、法務局の窓口に備え付けられているものを取得して使います。

こちら概要欄にURLから確認できますので、きになった方は一度確認してみてください。

書き方は今回割愛しますが、基本的に自分の氏名や住所、本籍、遺言の受取人、つまり受遺者の氏名や住所を記載する程度です。若干見慣れない単語があるかもしれませんが、役所で住民票などを取得する際の要領と同じイメージで作成可能だと思います。 

1つポイントとして、申請書には、指定した者への通知の申し出、というものあります。

これは、任意ですが、遺言者の亡き後に、法務局から遺言が保管されていることを、指定した人に通知してもらうことができます。通知できる人は、推定相続人や受遺者、遺言執行者の内1名のみに限られていますので、将来的なことも視野にいれつつ決めておけば安心できるのではないでしょうか。だれにも見つからない遺言では意味がありませんので、非常に重宝できる制度だと思います。

④管轄の保管所に予約する

4つめは、管轄の保管所に予約するステップです。

予約方法は、ネットからの予約、管轄法務局へ電話で予約、管轄法務局の窓口で予約する、の3つがありますが、基本的にはネットからの予約が楽なのではないかと思います。これも概要欄の法務省HPをから確認可能です。

⑤遺言書を法務局に持参して保管の申請する

5つ目は、遺言書を法務局に持参して保管の申請するステップです。

保管申請には、作成した遺言書、申請書とともに、一定の準備物があります。

準備物はこちらの6点です。

  1. 遺言書
  2. 申請書
  3. 添付書類
  4. 本人確認資料
  5. 印鑑(認印でもよい)
  6. 手数料

この内、添付書類には、次の2つのいずれかを持参します。

➀自分の住民票

②自分の戸籍謄本及び戸籍の附票

➀または②のどちらでも構いませんので、住民票の方が簡単に取得できるのではないでしょうか。ちなみに戸籍の附票は、自分の住所移転履歴が全部載っているものをいいます

本人確認資料は、運転免許証や個人番号カード、住所記載のあるパスポートなどになります

手数料ですが、保管の申請に必要な費用は3,900円の収入印紙のみです。収入印紙は法務局で購入できますので、当日の購入で問題ありません。

書類の内容に不備がなければ、即日処理が完了します。

⑥遺言書保管証を受領する

6では保管証を受領して完了です

保管申請が完了すると、保管証が交付されます。この保管証は、遺言書の保管場所などが記載されていますが、遺言の内容などが記載されているものではありません。家族へ保管証を共有しておけば遺言の存在だけ伝えることが可能です。また、保管証には、保管番号が記載されていますが、これは、後日保管してある遺言を閲覧したいときや、再度、別の遺言書を保管したいとき、あるいは保管を取り下げたいときに使います。

保管証は再発行できない書類とされていますので、保管には注意が必要です。

以上が、保管制度の流れです。

自分が生存している間は、他の人が遺言の内容を知ることはできず、自分だけ閲覧できます。自分の亡き後は、遺言者の相続人や受遺者、遺言執行者に指定されている人が、遺言が保管されているかの有無を法務局に照会したり、遺言書の内容が写った証明書の交付を受けることができます。この遺言書の内容が写った証明書を遺言書情報証明書といいますが、この証明書があれば、不動産の名義変更登記などが可能で、従来の遺言の役目を果たします。

これが遺言書保管制度の全体像です。

それでは、今回はこれで終わりたいと思います。

監修者プロフィール

榎本亮冴
榎本亮冴司法書士
・大手金融機関主催の相続対策セミナー、相談会
・大手不動産会社主催の相続対策セミナー、相談会
・大手生命保険会社の相続専門員向け勉強会の開催
・自主開催の終活セミナー、相談会多数
これまでの豊富な経験に基づき、遺言作成支援、相続を中心に、個人のお客様向けに幅広い業務に対応させて頂くことができます。どうぞお気軽にご相談下さい。