相続登記で使う戸籍を自分で取る方法・見方を分かりやすく解説!

 

今回は、相続手続きで使う、被相続人の出生から死亡までの戸籍の取り方・戸籍の見方について解説します!

現在の戸籍のみではいけないのか

 

相続手続きを行う際、大抵は被相続人の出生から死亡までの戸籍が必要になります。

なぜ、現在の戸籍のみではいけないのでしょうか?

 

戸籍では、転籍や婚姻をすると、それまで入っていた戸籍から抜けて、新しく別の戸籍が作られ、そこに入籍にします。

その際、旧戸籍に記載されていたことは、新戸籍へは一部しか転記されず、省略されてしまう事項もあるのです。

つまり、新しい戸籍にはすべての事柄が記載されているわけではありません。

 

例えば、Aの戸籍が2つあったとします。

そして、時系列で下記のような経緯があったとしましょう。

①子Cが結婚し、Aの【戸籍1】からC除籍

②Aが転籍し、【戸籍2】にA入籍

 

このようなケースで、Aの現在の【戸籍2】を取得しても、子Cは記載されていません。

Cは【戸籍1】の段階で既に除籍しているため、Aの【戸籍2】には転記されず省略されるのです。

 

このような戸籍の仕組みから、Aの現在戸籍である【戸籍2】のみを取得しても、Aの家族関係は完全にはわからないということになります。

したがって、現在の戸籍だけではなく、出生まで遡って古い戸籍を取り、被相続人のすべての親族関係を明らかにする必要があるのです。

 

戸籍の取り方

 

戸籍は、新しい戸籍から、順に古い戸籍を辿っていくという作業を行います。

そのため、まずは現在の戸籍を取りましょう。

この形式のものですね。

戸籍は本籍地を管轄する市区町村役場で取得できます。

本籍地がわからない場合は、被相続人の本籍地入りの住民票を取る方法が確実です。

本籍地入りの住民票は、住民票請求書にチェックを入れれば取得できます。

 

被相続人の本籍が分かったら、まずは、本籍地を管轄する市区町村役場で戸籍謄本を取得しましょう。

その際、役所の方には、「相続手続きのため、被相続人についてのすべての戸籍が必要」と伝えます。

 

郵送で交付を受けたい場合は、戸籍請求書に同様に記載しておきます。

被相続人の本籍地が生涯同一の市区町村であれば、おそらく出生までの戸籍謄本が一括で取れますので、戸籍の収集作業は一回で完結します。

 

一方で、本籍が転々としている場合は、それぞれの市区町村役場で戸籍謄本を請求する必要があるため、大変なケースもあります。

例えば、本籍が東京都新宿区から、神奈川県横浜市に変わっていれば、新宿と横浜の役場には戸籍請求することになるでしょう。

【補足】
戸籍を郵送で請求する場合は、小為替が必要です。
その際、役所のホームページでは、ぴったりの小為替を入れて送ってくださいと大抵書かれています。
ですが、相続手続きのための戸籍請求では、何通出てくるか分からないため、多めの小為替を入れておくか、後から必要な小為替を追加で送る事になります。
郵送請求の場合は、役所の方から電話がかかってきて、戸籍の発行数についての連絡があることが多いです。

 

戸籍の見方

 

(新宿区サンプル)

戸籍の一番上は、筆頭者の本籍と氏名

その下の戸籍事項欄には、この戸籍が作られた原因などが記載されます。

例えば、改製や転籍についてです。

その下には、戸籍に記録されている者と、その人の身分事項が記載されています。

 

戸籍は主にこの3つの枠組みで構成されています。

①筆頭者の氏名と本籍

②戸籍事項(改製や転籍について)

③戸籍に記録されている者とその人の身分事項

 

見慣れない内はごちゃごちゃしているように思いますが、3つの枠組みを意識すると見易くなるはずです。

戸籍の繋がりを確認する方法

 

戸籍が作られる経緯は人によって異なるため、今回は一例として新宿太郎さんの出生から死亡までの戸籍を追いつつ解説したいと思います。

 

戸籍を見る上でのポイントは次の3つです。

戸籍を取得したらこのポイントを抑えながら戸籍の繋がりと被相続人の関係を把握していきます。

 

①いつから編成された戸籍か

②被相続人について証明されている期間はいつからいつまでか

③従前の本籍地はどこか(又は改製か)

 

これを各戸籍について見ていくといいでしょう。

まずは現在の戸籍から見ていきます。

①いつから作られた戸籍か

 

戸籍が新しく作られたということは、以前の古い戸籍があるということですね。

そのため、その戸籍がいつ作られたのかを確認するのです。

 

戸籍が新しく作られる理由にはいくつかありますが、この記事では下記2つを取り上げます。

・婚姻(結婚により親の戸籍を出て、新しい戸籍を作る)

・改製(法律に変更があって、新しい戸籍が作られる)

 

ほかにも

・転籍(自分で本籍地を変えて新しい戸籍を作ること。ただし、別の市区町村役場の管轄に変えた場合のみ。同一管轄内で転籍しても戸籍は編製されない。)

・分籍(親の戸籍から出て単独で自分の戸籍を作ること)

などがあります。

 

これらの事由を戸籍から読み取り、古い戸籍を追っていく作業となるため、まずはいつから編成された戸籍かを確認します。

いつから作られた戸籍か、の確認部分は2つです。

 

1つ目は戸籍事項欄です。

ここには、前述した通り、戸籍が新しく作られる理由である、改製や転籍について記載されています。

新宿太郎さんの場合、【改製日】平成7年4月1日と記載があります。

これは、平成7年4月1日の改製で、この戸籍ができたことを意味しています。

【補足】
平成6年改製とは、全国的に戸籍をコンピュータ化する改製です。
多分、どの地域の戸籍にもこの改製の記載がはあるはずです。
平成6年以降に各地域で順次コンピュータ化に移行したため、改製日は異なります。
東京都新宿区はたまたま平成7年4月1日だったのでしょう。

 

確認部分の2つ目は身分事項欄です。

ここでは、婚姻や養子縁組、分籍についての記載があるかを確認します。

これらは、従前の戸籍から抜けて、新しく別の戸籍に入籍する事由だからです。

記載がある場合には、日付と従前戸籍がポイントになります。

新宿太郎さんの身分事項欄には、婚姻がありますね。

昭和55年2月8日に、大久保花子さんと結婚し、新宿太郎さんを筆頭者とする戸籍が作られたことが分かります。

 

時系列でみると、

・昭和55年2月8日に新宿太郎さんを筆頭者とする戸籍がつくられた

その後、

平成7年4月1日の改製によりこの戸籍が作られた

ということが分かります。

 

 

②被相続人について証明されている期間はいつからいつまでか

 

新宿太郎さんは、平成27年2月5日に亡くなっています

したがって、この戸籍は平成7年4月1日から、新宿太郎さんが亡くなる平成27年2月5日までの期間を証明していたことがわかりますね。

 

直ぐに分かるように、平成7年4月1日~平成27年2月5日と付箋に書いて戸籍謄本に貼っておきましょう。

 

③従前の本籍地はどこか(又は改製か)

 

平成7年4月1日以前の、転記されていない情報を知るには前の戸籍を取る必要があります。

冒頭でも解説しましたが、過去の戸籍で既に除籍になった事項は、新しい戸籍には転記されません。

そのため、平成7年4月1日より前の戸籍を取ります。

 

といっても、戸籍が改製により新しくなっている場合は、同一本籍地に改製前の戸籍がありますので、同じ役所で一緒に取得できます

今回は改製の為、同じ役所で一緒に取得できたことにします。

なお、改製前の戸籍を改製原戸籍と言います。

 

①いつから編成された戸籍か

改製前の戸籍を見ると、このように縦書きの戸籍になっています。

そして、戸籍事項を見ると、昭和55年2月8日編成とあります。

昭和55年2月8日といえば、新宿太郎さんが大久保花子さんと結婚した日になります。

この改製原戸籍は、結婚により新宿太郎さんを筆頭者として昭和55年2月8日に作られていることがわかりますね。

 

②被相続人について証明されている期間はいつからいつまでか

 

この戸籍の右側には小さい文字ですが平成6年の改製につき平成7年4月1日消除と記載があります。

消除というのは、戸籍の閉鎖を意味していますので、この戸籍は平成7年4月1日まで記録が更新されていて、以降は最初に見た戸籍に繋がっていることが分かりますね。

 

したがって、この戸籍は、昭和55年2月8日(婚姻日)~平成7年4月1日(改製日)まで新宿太郎さんについて証明していた期間になり、戸籍の連続性も確認できました。

付箋に書いて戸籍謄本に貼っておきましょう。

 

③従前の本籍地はどこか(又は改製か)

 

しかし、新宿太郎さんが生まれたのは、昭和25年3月1日なので、出生時に入った戸籍ではないことが分かります。

そのため、更に前の戸籍を取得する必要があります。

そこで、新宿太郎さんが従前に入っていた戸籍を調べるのですが、新宿太郎さんの身分事項を見ると、昭和55年2月8日に大久保花子さんと結婚し、新宿健二さん(本籍:新宿区歌舞伎町1丁目4番)の戸籍から、この戸籍に入籍と記載があります。

 

つまり、新宿太郎さんは、大久保花子さんと結婚する前は、父の新宿健二さんの戸籍にいたことになります。

ですので、次は筆頭者を新宿健二さんとする戸籍の取得が必要です。

 

なお、新宿健二さんの本籍地も新宿区のため、同じく新宿区で戸籍を取得することになります。

 

①いつから編成された戸籍か

 

戸籍事項を見ると、昭和33年8月30日に同所同番地の新宿大吉戸籍から本戸籍編成と記載がありますので、この戸籍は昭和33年8月30日に作られたことが分かりますね。

ちなみに、ここに書かれている昭和32年法務省令第27号による改製とは、家制度を廃止し、それまで「家」ごとに編製されていた戸籍を、「夫婦と子」ごとに編製することとした改製をいいます。

これ以降は、結婚すると夫婦のどちらの氏にするかを決め、決めた方の氏を筆頭者として、新しく戸籍を作っています。

 【余談】
余談ですが、家制度では、家を1つの単位として戸籍を作り、戸主を中心に、所属する親族を絶対的権力で統率していたといいます。
家族には、結婚や居住に関する自由がなく、戸主の同意の下で生活していたようです。
戸主を引継ぐのも基本的に長男とされています。

 

②被相続人について証明されている期間はいつからいつまでか

新宿太郎さんの身分事項を見ると、昭和55年2月8日に大久保花子さんと結婚届出し、夫の氏の新戸籍編成につき除籍とありますので、昭和55年2月8日にこの戸籍から抜けていることがわかります。

 

したがって、この戸籍では、昭和33年8月30日(改製日)~昭和55年2月8日(婚姻日)まで、新宿太郎さんについて記載されていることになります。

これも、見直したときに直ぐ分かるよう、付箋に期間を書いて戸籍謄本に貼っておきましょう。

 

③従前の本籍地はどこか(又は改製か)

新宿太郎さんの出生は、昭和25年3月1日のため、更に前に入っていた戸籍を取る必要があります。

戸籍事項には、昭和33年8月30日に同所同番地の新宿大吉戸籍から本戸籍編成とありますので、更に前の戸籍は、戸主を新宿大吉さんとする戸籍です。

同所同番地のため、これも同様に新宿区での取得となります。

 

①いつから編成された戸籍か

 

この戸籍は、先述した昭和32年法務省令第27号による改製の、家制度が廃止される前の戸籍です。

そのため、筆頭者ではなく、戸主として、家制度があった時代の戸籍になっています。

いわゆる大正4年式戸籍と呼ばれるものです。

この戸籍には、大正7年2月19日、前戸主、新宿義太郎死亡により、家督相続届出、同月19日受付と記載があります。

家督相続というのは、戸主を別の者に引き継ぐことをいいます。

戸主が変わった場合、新戸主を筆頭として新しい戸籍が作成されます。

 

この記載により、大正7年2月19日に家督相続でこの戸籍が作られていることが分かります。

 

新宿太郎さんの出生は昭和25年3月1日なので、この戸籍が最初に入った戸籍ということが分かりますね。

したがって、これ以上戸籍を遡っても新宿太郎さんは載っていませんので取る必要はありません。

 

②被相続人について証明されている期間はいつからいつまでか

新宿太郎さんは父の新宿健二さんの戸籍に入っていましたが、健二さんの身分事項を見ると、改製(家制度の廃止)により新戸籍編成につき昭和33年8月30日除籍とされています。

一つ前の新宿健二さんを筆頭者とする戸籍が作られた日(昭和33年8月30日)と一致しますね。

新宿太郎さんの身分事項を見ると、昭和33年8月30日に父母に伴い除籍とありますので、父の健二さんを筆頭者とする、先ほどの戸籍に一緒に移っていることが分かります。

 

以上で、新宿太郎さんの出生から死亡までの戸籍の連続性を確認することができました。

 

戸籍を時系列でみる

 

ということで、念の為、再度古い戸籍の順に時系列で追ってみたいと思います。

まず、大正7年2月19日に作られた戸籍に、新宿太郎さんは昭和25年3月1日に出生して入籍しています。

そして、家制度の廃止にともない、昭和33年8月30日に、父の新宿健二さんととも新宿太郎さんもこの戸籍から出て除籍になります。

そして、新宿健二さんを筆頭者する戸籍に入籍します。

その後、昭和55年2月8日に新宿太郎はさんは大久保花子さんと結婚して、この戸籍から除籍となります。

太郎さんの次の戸籍は、昭和55年2月8日より新宿太郎さんを筆頭者とする戸籍になります。

新宿太郎さんを筆頭者とするこの戸籍は、平成7年4月1日の改製により消除となります。

そのため、新しく新宿太郎さんを筆頭者とする現在の戸籍が作られます。

 

現在の戸籍は、冒頭で載せた横書きの戸籍です。

平成27年2月5日に新宿太郎さんは亡くなっているため、除籍とされています。

これで、新宿太郎さんの死亡から出生までつながっている戸籍を取得することができたことになります。

 

まとめ

実際に戸籍を取得する際には、役所の職員の方に、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要であることを伝えます。

一つの市区町村役場で被相続人に関する戸籍を一括で請求しますので、その場でひとつひとつ戸籍を確認し、改製日を特定し、改製原戸籍を請求するという作業はしません。

 

ただし、本籍地が別の市区町村役場の管轄になる場合は、戸籍から従前の本籍を特定し、順を追って別の市区町村役場に戸籍を請求していく作業が必要になります。

今回の事例は、本籍地がすべて東京の新宿区だったため、新宿区役所で出生までの戸籍が取れたということになります。

 

戸籍が取れたら相続登記を行いましょう!

下記記事では相続登記を自分で行う方法について、分かりやすく解説しています。

 

監修者プロフィール

榎本亮冴
榎本亮冴司法書士
・大手金融機関主催の相続対策セミナー、相談会
・大手不動産会社主催の相続対策セミナー、相談会
・大手生命保険会社の相続専門員向け勉強会の開催
・自主開催の終活セミナー、相談会多数
これまでの豊富な経験に基づき、遺言作成支援、相続を中心に、個人のお客様向けに幅広い業務に対応させて頂くことができます。どうぞお気軽にご相談下さい。