
はい、みなさんこんにちは司法書士の榎本です。
本日は、相続した遺産に、借金が多くてプラスの財産を超えるような場合、はどうすればいいのかについてお送りしていきます。
このような場合は相続放棄という制度を検討していきますので、その概要や手続きを確認していきましょう。
動画でも解説していますので、ご確認ください。
相続の基本
それではまず、少し掘り下げて相続の基本から見ていきましょう
遺産には、プラスの財産とマイナスの財産があります
プラスの財産 | マイナスの財産 |
不動産(自宅、賃貸マンション、空き地など | 借入 |
現金・預貯金 | 商品を買った後の未払い金 |
動産(車、絵画、宝石、骨とう品など) | 地代・家賃の支払い |
有価証券(株式、投資信託、国債など | 滞納税 |
1億円 | △1億2000万円 |
相続というのは、亡くなった方の遺産を相続人がすべて引き継ぐ制度のことをいいます。
例えば、Aの子が2人、Aの遺産の合計がこのようにマイナス財産が多かった場合で、Aが亡くなった場合は、相続人である2人の子BCがすべて引き継ぐことになります。
プラスの財産だけを引き継ぐということはできません
相続人としての地位は法律で決まっていますので、BCは自動的に引き続ぐ流れとなります。
このケースではマイナス2000万円ほどの借金を背負ってしまう可能性がある状態です。
そこで、そのような場合には、2つの制度が用意されています。
相続の放棄・限定承認です。
相続放棄とは?
相続の放棄とは、という選択です。放棄することに、相続人でなくなるのがこの制度です
ですので、マイナスの財産もプラスの財産も引継ぎません
相続人として、遺産分割協議に参加する必要もなくなります
この制度は、相続人としての地位は失いますが、親子関係などの身分の放棄ではありませんので、戸籍などに記載されることはありません
限定承認とは?
もうひとうつ限定承認があります。
この制度は、プラスの財産とマイナスの財産どちらが多いかわからない場合に活用します。この制度を活用すると、資産の分に限定してマイナスの財産を返済する義務にとどめることができます
財産を調査した結果、もし負債が多くても、プラスの財産を超えた分に関しては借金に追われるということはありません。
実際には、この制度は、手続き的にも煩雑ですし、税務上の問題点もあったりしますので、そこまで積極的に活用させれていない制度です。
それでは、この相続の放棄、限定承認をする際のポイントを見ていきましょう。
相続放棄・限定承認のポイント
相続の放棄・限定承認は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に家庭裁判所に申し出ることによって行います。3カ月間で、財産を調査して、選択してくださいね、ということです。
この期間を過ぎると、通常通りの相続で確定となりますので、相続放棄・限定承認ができないということになります。
ですので、財産の調査中で、判断がつかない場合は、期間の延長が認められています。
比較的容易に認めらますので、もし間に合わない場合は、事前に家庭裁判所に申し出て延長してもらうことで対応します
もちろんですが、これは3カ月の期間を過ぎる前に、申請しないといけません。
3カ月というルール
次に、期間についての捕捉していきます
自己のために相続の開始があったことを知った時とは、
亡くなった時ではなく、それを知った時となりますので、
例えば
➀相続人の1人が海外に住んでいて連絡を受けるのが半年遅れたとか、
両親が離婚して、長らく会っていなかった父親の死を知ったのが、1年後だったというケースで、亡くなったことを知らない場合もあります。
知らぬ間に3カ月過ぎたので放棄できませんということにはなりませんので、知ったときからスタートすることになっています。
3カ月というルールの例外
他にも、特殊な事例として、
②財産調査をしたけれど、プラスの財産もマイナスの財産も全くないと信じていたケースで、実際には、借入があり、後日銀行から返済の連絡がきた、といこともケースとしては考えられます。
その時は、相続の事実は知っていても、借金の存在をしったときから3カ月がスタートします。
相続放棄の注意点とポイントまとめ
相続放棄の注意点とポイントをまとめていきたいと思います。
・3カ月の期間は、相続の開始を知ったときになります。ですので、同居人などであれば通常はそのときからです。
・亡の事実をしらなかった場合は進行しません。
・続財産が全くないと信じていた場合は、借金の存在を知ったときからスタートになるケースがあるということです。
これは、ケースバイケースになります。
・3カ月の検討期間では間に合わない場合は、期間の延長が可能です
相続放棄のメリット・デメリット
次に相続放棄のメリットとデメリットです。
相続放棄のメリット
➀税金などを含めてマイナスの財産を背負わなくてよい
②遺産分割トラブルに巻き込まれなくて済む
初めから相続人ではなくなるので、遺産分割に参加する必要がなくなります
➂遺品整理などの手配も不要になる
相続放棄のデメリット
➀プラスの遺産も引き継がない
②他の相続人の相続分が増える
相続放棄の効果として、初めから相続人でなったことになります。そのため、例えば、兄弟の内、兄が相続放棄をすると、弟の相続分が増えます。
中の悪い兄弟の相続分が増えるのは避けたいというケースでは、別に相続分の譲渡という制度があります。
➂後からプラスの財産が見つかっても取消しできない
相続の放棄は、騙されたなどの事情がなければ、後から取り消しはできませんので、財産の調査がかなり重要です。
相続放棄の手順・手続き方法
最後に、相続放棄をする際の、手続きや申請書を簡単にみてみましょう。
申請する際には、この相続放棄申述書という書類を使います。
2枚ありますが、適宜記入して、戸籍謄本などと併せて、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。
これは郵送でも可能です。これを提出すると、家庭裁判所から照会書という書類が送付されてきます。
本当に放棄でいいですか、という内容です。これに対して、また回答を郵送なで提出します
申請が受理されると、家庭裁判所から相続放棄受理通知書がとどきますので、これで完了です。
この受理通知書は1度しか発行されませんので、保管には注意が必要となります。
「相続放棄受理申述通知書」は、相続放棄をして、借金を背負っていないことの証明や相続登記で使用していきます。
ということで、相続放棄というのは、まずは、3カ月という期間がありますので、もし間に合わない場合は、早めに延長の手続きをしましょう。
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監修者プロフィール

- 司法書士
-
・大手金融機関主催の相続対策セミナー、相談会
・大手不動産会社主催の相続対策セミナー、相談会
・大手生命保険会社の相続専門員向け勉強会の開催
・自主開催の終活セミナー、相談会多数
これまでの豊富な経験に基づき、遺言作成支援、相続を中心に、個人のお客様向けに幅広い業務に対応させて頂くことができます。どうぞお気軽にご相談下さい。
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