
はい、みなさんこんにちは。
司法書士の榎本です。
今回は、土地を相続したときの遺産分割の重要ポイントを解説していきます。
動画でも解説しています。
よくあるのは、自宅は長男、株式と現金は、次男といった分け方です。このようにスムーズ進めばいいですが、遺産がおおむね不動産という場合には、なかなか難しいと思います。
不動産の共有状態
不動産というのは、現金や有価証券のように均等に分けることが難しい資産ですので、遺産分割トラブルに発展しやすいです。
価格がわかりにくい、均等に別けられない、思い入れなどで売却の足並みが揃わない
といった点があると思います。
共有のままで構わない場合については、あえて分割しないという選択もありますが、不動産の共有状態はあまり好ましくはありません。
よくあるケースとしては、共有者の足並みがそろわず、スムーズに換金することができないというものです。
もっと進むと、2次、3次と相続が重なってしまうことで、不動産の共有者がどんどん増えてしまいます。売却の前提として相続登記が必要ですが、この登記すらできないという問題も起こります。
ですので、共有状態を解消するためには、遺産分割を検討していきます。
不動産の遺産分割方法
今回は不動産を分ける際に考える、換価分割と代償分割のポイントについてです。
基本的に遺産がほとんど不動産である場合は、このどちらかを検討していくと思います。
税務上の注意点もありますので、知っておくか知らないかでは、大きく変わるはずです。
換価分割
換価分割とは、遺産を売って、お金に換えて、そのお金を相続人で分ける分割方法のことです。
例えば、自宅の土地が1000万円で売れるのであれば、売却して現金を各相続人で割ればいいわけです。この方法であれば簡単です。
この方法のメリットとしては、遺産を売却してのこるのが現金ですので、平等に別けられるとうことです。
あとは、相続人全員が不要としてういる遺産を処分できます。特に不動産は固定資産税など維持費がかかりますので、不要なら処分してしまった方がいいでしょう。
また、相続税が発生する場合は、納税資金に見立てることができます。遺産のほとんどが不動産というケースでは、現金納付に苦しむことがよくありますので、換価分割を早めに検討する必要があります。
換価分割の注意点
一方で注意点がいくつかあります。
贈与税の問題
・換価分割は、場合によっては贈与税や、譲渡所得税の問題がでてきます。
まず贈与税についてですが、換価分割をする前提として、相続登記をします。この登記は、一旦相続人の共有名義とするか、代表者を決めて単独名義の登記をすることになります。
単独名義の登記をしたときは、一旦その人が不動産を売却して、売却代金を他の相続人に分配することになりますので、この点をしっかり遺産分割協議書に記載しないと、贈与と判断されてしまうというリスクです。
遺産分割協議書の記載には注意する必要があります。
譲渡所得税の問題
もうひとつ譲渡所得税です。計算方法は今回は割愛しますが、これは簡単に説明すると、安く仕入れて、高く売れた場合の儲け分に対して発生する税金です。仕入額と売却額が同じであれば発生しません。発生する場合は、原則として、各相続人の法定相続分に従って所得税を納める必要があります。
居住用家屋の売却に関しては特別控除というのもあります。実際に住んでいた家の売却であれば、3,000万円のまでの控除がうけられますので、この点も事前に考慮しておく必要です。
相続人全員の足並みが揃わないとできない
この方法は、相続人の全員がその不動産を不要だと考えている場合に可能となります。
もともと配偶者、つまり夫や妻が住んでいる場合や、他の相続人が住み続けるというケースでは、売ることができないため、換価分割は難しくなります。
この場合は、2つ目の代償分割を検討します。
代償分割
代償分割とは、土地など、よりも多くの財産を相続する人から、他の少なく相続する人に対して、差額分をお金で埋め合わせする分割のことです。
不動産など分けるのが難しい遺産に関しては、よく実務で活用されているのがこの方法です。
例えば、遺産が1000万円の土地だけの場合であれば、相続人の一方がこの土地を引き取って、他方の相続人に現金で1000万円を支払う、というものです。
代償分割のメリット
代償分割のメリットは、売りたくない自宅や収益物件を残せる点です。
土地を引き受ける相続人の自己資金を持ち出すことが可能であれば、うまくバランスが取れる方法です。一括して支払えない場合は、分割払いなども協議で検討することは可能です。
もちろん、対価として支払う金額も協議で決めればいいので、生前に受けた贈与があるとか、療養看護に対する寄与分を考慮したりして、価格を決定することは当事者間の自由です。
代償分割の注意点
一方、この方法の注意点としては、まず、不動産を取得する相続人が、相応の自己資金をもっていないとできません。分割払いの取り決めも可能ですが、何千万円となると、老後も考えて実質不可となることもあります。
不動産の価格評価について双方が同意
2つめは、不動産の価格評価について双方が同意している必要があります。
不動産の価格は一律に決められないので、当事者間で十分検討しておくことが必要です。
不動産鑑定士に評価の依頼するですとか、近所の不動産会社に査定してもらうなどして、早期に決定しましょう。
お金が支払われないトラブル
あとは、せっかく代償分割で協議が成立したのに、お金が支払われないといったことでトラブルにならないように、支払いに関しての取り決めや、支払い能力はしっかり確認しておくことが重要になります。
代償金が申告期限まで決まらない
代償分割の場合には、代償金の金額が確定して初めて遺産分割の確定となりますので、換価分割のように、売却代金の30%のように、割合を協議で決めたとしても遺産分割の確定となりません。申告期限まで代償金の金額が決まらない場合には、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減の適用はできないこととなりますので注意が必要です。
以上、不動産の遺産分割方法です。
小規模宅地の特例
どちらの方法がいいかという点で、大きく左右するポイントは、小規模宅地等の特例です。
相続税が発生する場合は、小規模宅地の特例が大きく検討材料になってきます。
簡単に説明しますと、この特例の適用を受けられる人が土地を多く取得すると、その分大きく節税になります。例えば、配偶者や亡くなった方の同居人、自宅を持たない相続人が該当します。
亡くなった母と同居していた兄は適用できるが、弟が取得しても適用できないということになります。
場合によっては何千万、何百万という節税になる制度です。
ですので、相続税の負担が大きくなるケースでは、この特例も視野に入れつつの遺産分割を検討する必要があります。
一度、相続税のシミュレーションをした方が無難です。
遺産分割協議は、相続人全員の意見が一致しなければなりませんので、
当事者間でまとまらない場合は、専門家に相談するようにしましょう。
それでもまとまらなければ、家庭裁判所での調停・審判といった手続きで解決を図るか、または、共有状態としておくことになります。
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監修者プロフィール

- 司法書士
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・大手金融機関主催の相続対策セミナー、相談会
・大手不動産会社主催の相続対策セミナー、相談会
・大手生命保険会社の相続専門員向け勉強会の開催
・自主開催の終活セミナー、相談会多数
これまでの豊富な経験に基づき、遺言作成支援、相続を中心に、個人のお客様向けに幅広い業務に対応させて頂くことができます。どうぞお気軽にご相談下さい。
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